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私が在りたい世界のために。フリーランスのフルート奏者広沢翼【連載企画】第1回

群馬県前橋市出身で音大やフランス留学を経てフルート奏者として活動をしている広沢翼さんの、過去・現在・未来に迫る全3回の連載企画。

12歳よりフルートを始め京都市立芸術大学音楽部卒業後、渡仏。パリ19区ジャック・イベール音楽院にてミエ・ウルクズノフ氏に師事。クラシックの他、インド音楽、即興演奏の基礎を学ぶ。

バンスリー、タブラ、RAV Drum、ジャンベ、三味線、茶道、書道、合気道、サンスクリット語に興味あり。

2019年は群馬イノベーションスクール6期生として、ビジネスについても学びを深め、これから飛躍が期待される20代の期待と不安をお届けします。

危機感がいつも飛躍のきっかけをくれる

中学入学をきっかけに吹奏楽部に入りフルートを手にした広沢さんは、3年生が引退し数ヶ月後に後輩ができると実感した冬に「このままじゃ後輩になにも教えることはできない」と感じ、部活以外でフルートのレッスンを受け始めました。

部活の顧問や先輩たちから教わるのとは違い、とにかくきそキソ基礎の日々。しかし、最も大切な基礎が疎かでは”後輩になにも教えられない”と感じていたので、どんどん上達していきます。

先輩として2年間の部活動を通しよりフルートの楽しさを感じ、高校入学後も続けることになったそうです。しかし待っていたのは、

「中学では優等生でした、それが高校ではまわりが全員優等生。自分は劣等生なんだなと感じ続けた3年間でした」

部活の仲間が進路を考える中、広沢さんが選んだ道は”薬剤師になりたい”というもの。理由は、フルート奏者としての”職業”は想像できない、だったから。

また、生物や化学は好きなことでもあるし、資格を取って安定して働ける薬剤師に魅力を感じていたというのもあるそうです。

一見、夢も希望もないように感じるかもしれませんが、自分をしっかりと見つめることができる。そんな特徴が見えた一面でもあり、この選択がのちのち大きな分岐点になっていきます。

挫折しか感じることができない大学受験から留学まで

高校3年の進路を決めるころ、通い続けたフルートの先生にもそろそろお別れなんだとお話をしていたり、気持ちを切り替えて勉強をしたものの、結果は、

「薬科大には入れず、浪人することになりました・・・。」

高校入学と同時に勉強をすることが嫌になっていたこともあり、このまま1年間を薬科大に入るために勉強をすることは考えらす、だったら今までやり続けてきたフルートの道を進めてみようと決断。音大に入るための準備を始めたそうです。

1年後、無事に京都市立芸術大学音楽部へと進学を決めます。予想はしていたけど、想像以上にまわりのレベルや意識の高さに、再び劣等感や挫折を感じることに。

大学の4年間は本当に濃くていろいろな経験ができたこどがよかったと感じる一方で、自分の実力や将来への想いに戸惑いを感じながら過ごしたそうです。

2013年の夏には先輩たちの演奏やソロをみて、自分が来年そこに立てるのか不安になり、秋にはフルート奏者としての世界に疑問を持ち悩みまくり、2014年にはまだまだ実力不足を感じつつも充実した日々を送り、2015年春、大学を卒業。

彼女が取った進路は”フランス留学”。卒業から留学までの3ヶ月、不安と劣等感に押しつぶされウツのようになりながらも、レッスンは続ける日々。

「フルートを学んだものはクラシックの枠を越えることはできず、卒業後の可能性としてあるのはオーケストラや大学の教授、音楽教室の先生、室内楽やソロでの活動、後進の指導くらいしかない」と決めつけ、その違和感にも蓋をし続けていたレッスンが、ある日崩壊します。

「止まらない涙、自分の才能を信じきれない私に対して、先生がおっしゃってくれた言葉が本当に心を楽にしてくれたのを覚えています。」

『明日にだって辞めることはできる。
でも、どうせ辞めるなら自分が心から満足して辞めたくない?』

12歳で始めたフルート。13歳からは部活とは別でレッスンもした。高校でも大学でも劣等感と挫折しか感じられない日々にも、音楽という素晴らしい表現をこのフルートでできる幸せのようなものを感じていた。

それでも、もう悔いがないってところまでやり切ったとは全く言えない。フランスでとことんやってみよう。3年後にどんな自分になっているのか、どんな道に進むのかわからない不安よりも、なんにでもなれる希望をもって行こう。

ようやく留学する覚悟を持つことができ、少しの不安と怖さも持ちつつも、2015年7月フランス・パリの地に降り立ちます。

パリ、やっぱり挫折。しかし手に入れた世界への切符

ただでさえ音楽家の若年齢化が進む中、パリでは5個も6個も年下の子たちが、自分なんかよりもハイレベルで、おばさんはどんなノリで来ちゃったのかとなったそうです。

フランスには音楽学校が本当にたくさんありレベルもピンからキリまで。そんな中選んだ学校は、パリ19区ジャック・イベール音楽院。

日本の音大を卒業してフランス留学する人はとても多くいます。広沢さんが選んだ理由は、フルートの歴史として、現在主流のベーム式フルートが完成してから今日に至るまでのフルートの奏法が確立されたのがフランス・パリの地であるということ。

以前ドラマで上野樹里さんと玉木宏さんが演じていた【のだめカンタービレ】でも留学先はフランスでしたね。もちろんドイツやオーストリアを選ぶ人もいます。

フランスでの3年間を振り返ってもらうと、いろいろな表情を見せてくれました。日本人の先生との出会い、そこからの様々な体験をお話いただきました。

留学前は「フルートを学んだものはクラシックの枠を越えることはできず、卒業後の可能性としてあるのはオーケストラや大学の教授、音楽教室の先生、室内楽やソロでの活動、後進の指導くらいしかない」と勝手に決めていた広沢さんにとってこのミエ・ウルクズノフ先生からは、技術や感性だけではなくメンタルの部分においても大きな影響を受けたそうです。

「一般的なフルート奏者の道に進むしかないという考えを取り払うことができたんです!その道の先に自分の在りたい世界は存在しないと考えていた私にとって、初めて【自分がフルートを吹いてもいいんだ】という許しになりました。」

多くの学びの中で培った感性をそのまま自由にフルートで奏でる。それが本当に自分がやりたい音楽の”かたち”なんだと心から思えるようになったそうです。

そうして迎えたあるイベント。即興でジャズのセッションをすることになり、その会場の空気・お客さんの視線や反応・セッション相手との呼吸や鼓動、今まで感じていたプレッシャーや劣等感や挫折なんか一切忘れ、とにかくフルートを吹くことだけに集中。そして、ふとあることに気づいたそうです。

私、泣いてる。

このセッションの中であきらかに何かが変わった瞬間があったそうです。例えるなら”自分の限界を超えた”、と。表現をする人なら誰でも経験があると言われている【なにものにも代え難い快感】をこの時体験し、それがすべての苦悩を上回るほどの感動を与えてくれる。

「もう、やめられません」

もう何度も何度もフルートを辞めようと考えたそうです。ただ、心が折れそうになった時ほど、前に進むためのサプライズが訪れる。もう一度あれを体感したい。あれを超える快感を目指したい。そのために目指すことは『自由にフルートを吹く』ことで表現できる自分だけの音楽なんだと。

帰国、変化、挑戦

2018年7月、フランスへの留学をDEM(音楽研究資格)試験に審査員満場一致の賞賛付きの合格で締めくくり、日本へ帰国。

少しずつフルートを吹く場を作っていこうと動き始め、ソロで呼ばれることも出てきた2019年4月、「そのビジネスアイデア面白いじゃん!これ受けてみなよ!」と勧められ、審査に合格して始まったのが群馬イノベーションスクール6期生。

「音楽しかやってこなかったので、すべてが新鮮でおもしろいです」

と、プラスの面が大きいこの挑戦。時を同じくしてフルートトリオ【あぽろんず】の結成、翌月にはお箏とフルートのユニット【吹箏(すいそう)】を結成し、活躍の場をさらに広げ始めていきます。

「音楽の楽しみ方は本当にたくさんあります。あぽろんずも吹箏もその1つとして観ていただきたいです。一切間違えない完璧な演奏も素晴らしいです。それでも私たちは、演奏者もお客さんもその場にいる人みんなで楽しむことができるイベントを創っていきます」

新しい挑戦を始めたからこそ、いろいろな葛藤やブレも訪れているそうで、9月にはまさに勢いだけで東京に移ることに。ライブや群馬イノベーションスクールで毎週のように群馬に帰ってくることになるのに、なぜ東京を選んだのか。

「フランスから帰国して1年がたち新しいことにも挑戦していけるようになっていましたが、なにか漠然とした不安がありました。

音楽をやっているだけでは感じることができなかった部分をイノベーションスクールで体験し、また劣等感というか自信が持てない自分が出てきました。それをなんとかするには、今の環境を変えなくてはならない。そう考え東京に行くことにしました。」

東京に移って3ヶ月。バタバタしていた生活も少しずつ落ち着き始めた12月。【自由にフルートを吹く】そのための1つである”あぽろんず”のクリスマスコンサートを12/22に開催。

1音1音しっかりと飛ばすことなく吹き続ける彼女にとって、やっぱり訪れる不協和音。変化を求めた東京での生活とあぽろんずクリスマスコンサートはどうなるのか。

次回は1月にアップさせていただきます。

about 広沢翼

前橋市出身東京在住
フリーランスのフルート奏者として活動中
12歳よりフルートを始める。京都市立芸術大学音楽部卒業後、渡仏。パリ19区ジャック・イベール音楽院にてミエ・ウルクズノフ氏に師事。クラシックの他、インド音楽、即興演奏の基礎を学ぶ
2018年、DEM(音楽研究資格)試験に審査員満場一致の賞賛付きで合格
バンスリー、タブラ、RAV Drum、ジャンベ、三味線、茶道、書道、合気道、サンスクリット語に興味あり

所属ユニット

吹箏(すいそう)

箏・川田健太、フルート・広沢 翼、森山康太によって2019年6月に結成
フルートとお箏の異色ユニット
群馬県を中心に和・クラシック・ジャズなど幅広い名曲を奏でる3人組

あぽろんず

フルート奏者3人組の笑顔あふれる前衛フルートトリオ
敷居が高いと感じるクラシックやフルートを身近に感じることができる

2019年12月22日クリスマスコンサート
@Green Pointカフェ https://tabelog.com/gunma/A1001/A100102/10014626/
18:00〜食事/19:00〜演奏
大人2,000円・小〜高校生1,000円・未就学児0円


演奏の依頼やお問い合わせは広沢翼のFacebookにて受付中
https://www.facebook.com/tsubasa.hirosawa.1

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